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コラム
2025.04.24

桐の魅力、その特性

桐の魅力、その特性

日本の伝統とともに生きる木材——桐(きり)の魅力

日本の暮らしや文化に深く根ざしてきた木材『桐(きり)』。

タンスや箱、楽器など、古くから私たちの身近に存在してきました。

では、なぜこれほどまでに桐は重宝されてきたのでしょうか?

その特性を知ると、桐の魅力が一層見えてきます。

1. 軽くて丈夫

桐の木材が多くの用途に重宝されている理由の一つに、「軽さと丈夫さの両立」があります。桐は木の中でも非常に軽く、乾燥状態ではその比重はおおよそ0.3以下と言われています。これは多くの木材と比べても極めて低く、水に浮くほどの軽さです。この軽さは、家具や箱類を持ち運ぶ際に非常に便利で、特に年配の方や力の弱い人でも扱いやすいというメリットがあります。

しかし、軽いからといって脆いわけではありません。桐は繊維がまっすぐで均一なため、衝撃に対してもしなやかに耐える強さがあります。この「軽いのに壊れにくい」という特性は、収納家具や道具箱など、頻繁に開け閉めや移動をする物に最適です。

2. 湿気に強い、防虫性も高い

桐は、古来より「貴重品を守る木」として重宝されてきました。その背景には、桐が持つ優れた調湿性と防虫性があります。まず調湿性についてですが、桐の木材は多孔質構造をしており、空気中の水分を吸ったり吐いたりする「呼吸する木」とも言える性質を持っています。湿度が高いときには水分を吸収し、乾燥時には放出する。このような機能によって、桐の家具に収納された衣類や書物、道具類は、カビや湿気による劣化から守られるのです。

特に日本のように四季があり、梅雨のような高湿な時期がある気候では、この性質が非常に大きな意味を持ちます。そのため、桐たんすは着物の保管に最適とされ、今でも高級着物店では桐の収納家具が使われています。

また、桐には防虫効果のある成分も含まれています。桐に含まれる、タンニンやパウロニンといった天然成分が虫を寄せ付けにくくしており、長期保管にも向いています。さらに桐の木には独特の香りがあり、これも虫が嫌がる要因のひとつです。このような性質は、紙類や布製品を長期間保存したい場合にも非常に有利です。

つまり、桐は単なる「入れ物」ではなく、中にある物を湿気や虫害から守る「守護者」とも言える存在。現代でも、大切なものを保管する手段として、桐の価値は衰えることがありません。

3. 熱を伝えにくく、燃えにくい

桐には一見意外に思える特性があります。それは「燃えにくい」という点です。木材であるにもかかわらず、桐は熱を伝えにくく、燃焼しにくい構造を持っています。これは、桐の木質が非常に細かい気泡構造をしており、空気を多く含んでいるためです。空気は熱を伝えにくいため、外部からの火が内部に浸透しにくく、結果として炎が広がりにくい性質を持つのです。

実際、江戸時代には火災から大切な財産を守るために、桐の箪笥や桐箱がよく使われていました。当時の町人文化では「火事と喧嘩は江戸の華」と言われるほど火事が多発していたため、火に強い素材としての桐の需要は非常に高かったのです。重要な文書や通帳、宝物などは、桐箱に入れて保管されていました。

また、火がついても、炭化して黒く焦げるだけで内部まで燃えにくいのが特徴です。この性質により、万が一の火災時にも中身の被害を最小限に抑えることが可能です。現代の耐火金庫のような役割を、桐は昔から担っていたとも言えるでしょう。

さらに、熱を伝えにくいということは、断熱性にも優れているということ。そのため、桐の箱や家具に収納された品物は、外気温の影響を受けにくく、温度変化に敏感な物の保存にも向いています。美術品や楽器などの保管にも桐が選ばれる理由の一つです。

4. 美しい木目と優しい風合い

桐のもう一つの大きな魅力は、その見た目の美しさです。桐材は淡いクリーム色からやや灰色がかった優しい色合いを持ち、空間に柔らかくなじむ風合いがあります。その木目は直線的で滑らか。非常に繊細で上品な印象を与えるため、和室の家具や建具としてはもちろん、現代のミニマルなデザインとも相性が良いとされています。

また、桐は時間とともに色味が変化する木でもあります。使い始めは淡く白っぽい色をしていますが、年月を経るにつれて黄金色や飴色へと深みを帯びていきます。この経年変化は、いわゆる「味わい」として多くの人に親しまれており、使い込むほどに愛着が湧く素材とも言えるでしょう。まさに「育てる木材」と言っても過言ではありません。

さらに、桐の表面には自然な光沢があり、漆やオイルなどを塗布しても美しく仕上がります。塗装を施すことで木目がより際立ち、高級感のある表情が生まれます。工芸品や楽器、インテリア小物としても桐が使われる理由は、このような美的な側面にあります。

柔らかく温もりを感じさせる桐の質感は、視覚だけでなく触覚にも心地よく、人が手に取ったときに「ほっとする」感覚を与えてくれます。このように、桐は実用性だけでなく、感性にも訴えかける魅力を持った素材なのです。

5. 再生が早く、環境にもやさしい

桐の木には、私たちがこれからの時代に大切にすべき「環境へのやさしさ」が備わっています。まず特筆すべきは、その生長スピード。一般的な広葉樹は成木になるまでに数十年かかるのに対し、桐はおよそ15〜20年で立派な木材として使用可能なサイズに成長します。つまり、伐採しても比較的短期間で再生可能な、サステナブルな資源なのです。

さらに桐は、一度伐採した後も切り株から新しい芽を出し、再び木に育つ「萌芽(ほうが)再生能力」があります。この性質は農業や林業において非常に効率的で、持続可能な資源管理に貢献します。植え替えの手間やコストを減らすことができるため、環境負荷の軽減にもつながります。

また、桐は他の樹木に比べて二酸化炭素の吸収量が多いことでも知られています。短期間で大きく成長するため、そのぶん多くのCO₂を取り込み、温暖化の抑制にも一定の効果があると期待されています。この点でも、桐は地球環境に配慮した素材として今後ますます注目されることでしょう。

さらに、加工時にも有害な化学処理が少なく済むため、家具や箱として使われた後も自然に還る、まさにエコロジーな木材です。美しく、使いやすく、そして地球にも優しい桐は、これからの時代の「新しい当たり前」として、もっと広く使われていくべき存在かもしれません。


桐は、その優れた機能性と美しさから、今もなお愛され続けている木材です。もし自宅に桐の家具があれば、それは単なる「モノ」ではなく、日本の知恵と工夫が詰まった宝物と言えるかもしれません。

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